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はちどり

日時:
2024年01月27日 @ 13:30 – 16:30 Asia/Tokyo タイムゾーン
2024-01-27T13:30:00+09:00
2024-01-27T16:30:00+09:00
場所:
国立民族学博物館 みんぱくインテリジェントホール(講堂)
はちどり

開催日 2024年1月27日(土)
時 間 13:30~16:30(開場13:00)
場 所 国立民族学博物館 みんぱくインテリジェントホール(講堂)
定 員 350名
定員に達しましたので申込受付は終了いたしました。キャンセル待ちは受け付けておりません。
参加費 要展示観覧券(イベント参加費は不要)
申 込 事前申込制(先着順)
※ 予約状況はイベント予約サイトでご確認ください。
※ オンライン(ライブ配信)はありません。
主 催 国立民族学博物館

みんぱくワールドシネマ 映像から考える<人類の未来>第56回上映会

【司会】 菅瀬晶子(国立民族学博物館准教授)
【解説】 諸昭喜(国立民族学博物館助教)

上映作品

「はちどり」

社会の急速な発展のなかで起きた聖水大橋崩落事故に、人びとが大きな衝撃を受けた1994年のソウル。
空虚な思いを抱える14歳の少女ウニが、塾の新任教師ヨンジとの交流を経てすこしずつ成長を遂げてゆく様子を、繊細に描き出します。

2018年/韓国/韓国語/138分/日本語字幕付き

【監督】 キム・ボラ
【出演】 パク・ジフ キム・セビョク

はちどり シーン1

©2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.

はちどり シーン2

©2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.

映画解説

急激な経済成長の影で、様々な矛盾がせめぎ合っていた1990年代の韓国を舞台に、孤独にさいなまれる女子中学生の葛藤の行方を見つめる人間ドラマ。1994年、小さな餅屋の商売で手一杯の両親や無口な兄姉と、ソウルの集合団地で暮らす14歳のウニは、諍いの絶えない家庭でも学歴偏重教育を強いる学校でも、疎外感を覚えていた。漠然と通う漢文塾で、名門大学を休学中の新任女性教師に惹かれたウニは、どことなく影を帯びるも親身に助言を授けてくれる彼女に感化され、何かと生きづらい世の理不尽に立ち向かう活力を育んでいく。鮮烈な長篇デビューを飾ったキム・ボラ監督は、かつての自身にも重なる感受性豊かな少女のまなざしをとおし、強圧的に振る舞う父や大学進学を諦めた後悔を引きずる母、受験のストレスを暴力で紛らわす兄や夜遊びで現実逃避を図る姉らの、言い知れぬ苦悩も細やかに描出。北朝鮮の金日成主席の訃報や聖水大橋の崩落事故の衝撃など、私的な当時の記憶を巧みに織り込みつつ、ままならない日常の鬱屈と闘う誰もが共鳴し得る名篇に仕上げ、釜山やベルリンをはじめ国際的な映画祭で賞賛を浴び、日本ではキネマ旬報ベスト・テン第2位に輝き、韓国でもインディーズ作品として異例のヒットを記録した。(映画評論家 服部香穂里)

暗い時代に灯す、小さな希望の灯

2018年に公開されたこの映画は、「インソール生理ナプキン事件と月経権運動(2016~)」、「#MeToo運動(2018~)」など、フェミニズム・リブート現象とジェンダー葛藤が社会的な問題となったことを反映している。この時期、女性作家や監督は自分自身の経験を作品に取り入れ、社会的な共感を得た。小説『82年生まれ、キム・ジヨン』(2016)と映画「はちどり」もその文脈で理解される。小説『82年生まれ、キム・ジヨン』が女性の人生に対する抑圧、不平等、不条理を鋭く描いている一方、映画「はちどり」は学生と周りの人々との関係、出来事からくるその感情を非常にゆっくりとしたペースで画面に収め、観客に自分の反応と感情を反芻する十分な時間を与える。
この映画は現在の若い世代にも反響を呼んだ。1990年代の半ば以降に生まれ、2014年のセウォル号沈没、2019年末からはじまったコロナ禍、2022年のイテウォン事故、そしてポストコロナの経済不況を経験した若い世代に、この映画は無力感、虚無感、不安、抑圧などを共感させた。しかし、この映画は暗いメッセージだけではなく、慰めも提供しようとする。キム監督は世界で最も小さな鳥であるハチドリの強い生命力、希望、愛を表現したいとして、タイトルを「はちどり」と付けたと言う。彼女が世界のハチドリに送る慰めのメッセージを自分でも受けとめてみよう。(諸昭喜)

映像から考える<人類の未来>国立民族学博物館 菅瀬晶子

映画がこの世に誕生して、120年あまり。最初は日常生活の一端を切り取ったものでした。いまや日本では年間に1300本に迫る数の映画が公開され、その内容も多種多様です。世界のさまざまな地域で、現在進行形で起きている問題を扱う作品も年々増えてきました。問題意識を喚起する手段として、映画は実に有効なのです。
みんぱくワールドシネマでは、所属する研究者の個別研究や現在進められている研究プロジェクトの内容に沿った映画を選び、その内容を研究者が解説することによって、最新の研究成果と映画のより深い理解を観客のみなさまと共有することを目的としています。紛争、差別、環境変動などを超えて、異なる価値観を持つ人びとはどう共存してゆくべきか。終映後、あらたな視座がみなさまの中に生まれれば、さいわいです。

申込について

定員に達しましたので申込受付は終了いたしました。キャンセル待ちは受け付けておりません。

事前申込制(先着順)での開催となります。
代表者を含め2名まで申込可能です。

受付期間:2023年12月18日(月)10:00~2024年1月19日(金)16:00
※定員になり次第受付終了
※解説時に手話通訳が必要な方は、12月29日(金)までに申込いただき、その旨をお知らせください。

  • 予約状況はイベント予約サイトでご確認ください。
  • 事前申込の方へ、当日11:00から本館2階会場前にて展示観覧券を確認後、入場整理券を配布します。
  • 受付期間内に定員に満たない場合のみ当日参加を受付けます。

お問い合わせ

国立民族学博物館 企画課 博物館事業係
TEL:06-6878-8210(土日祝を除く9:00~17:00)