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酒狩りの民族誌―ポスト植民地状況を生きるアボリジニ

館外での出版物

書名 酒狩りの民族誌―ポスト植民地状況を生きるアボリジニ
著者名 平野智佳子
出版社 御茶の水書房
発行年月日 2023年2月20日
判型・体裁 菊版・16 x 2.4 x 22.6 cm
頁数 328頁
ISBN 4275021770
定価 8,800円(税込)
研究成果 科研プロジェクト:
オーストラリア遊動社会における飲酒トラブルの発生と解消に関する人類学的研究(2022-2025)

主題・内容

「酒は白人の毒だ」。酒によって失われたオーストラリア・アボリジニの文化と社会。飲酒規制がしかれる町の一角で、祖先から受け継がれてきた物語をキャンバスに描き、当たり前のように酒を飲む人びと。「危機」に対峙するアボリジニの選択と決断を読み解く。

おすすめのポイント、読者へのメッセージ

厳しい飲酒規制がしかれる町の一角で、祖先から受け継がれた物語をキャンバスに描きながら、当たり前のように酒を飲んでいるアボリジニの人びと。彼らは「人種差別」と批判されるような国家の強圧的な介入に対して、抵抗するわけでもなく、従うわけでもなく、狩りの知識とスキルを活かして平然とそれをかわし、楽しそうに酒を飲み続けていた。「危機」に直面しているといわれるアボリジニ社会の、この「危機らしからぬ」現状を、私たちはどう理解することができるのだろうか。

目次

序章
  フィールドでの問い
  問題の所在
  調査について
  本書の構成
第Ⅰ部 アボリジニとポスト植民地状況
 第1章 飲酒政策をめぐるアボリジニの分断
 第2章 中央砂漠におけるアボリジニと入植者の関係
第Ⅱ部 アナングと酒の歴史的展開
 第3章 中央砂漠の住民、アナング
 第4章 酒の扱い方の変遷
第Ⅲ部 酒狩りとアナング・ウェイ
 第5章 酒の購入資金を稼ぐ
 第6章 酒を獲得する
 第7章 酒を分配する
 第8章 関係を修復する
終章
  飲酒の是非をめぐるせめぎ合い
  折り合いをつけるための工夫
  ポスト植民地状況を生きる