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上智大学グローバル教育センター「文化復興と民族:北米先住民の現在」

Let’s みんぱっく!!-活用例-

上智大学グローバル教育センター「文化復興と民族:北米先住民の現在」

「極北を生きる」は、現在15種類あるみんぱっくのなかで、いちばん最初につくられたものです。見て、ふれて、モノと出会うといったみんぱっくのコンセプトをよく表しており、これまでに幅広い学校教育機関に利用されています。本ページでは、大学の授業で活用されている様子をご紹介します。

【本ページは学校からご提供いただいたレポートと写真をもとに構成しています。】

パック利用期間 2022年7月12日~7月25日
利用したパック 極北を生きる
受講学年、人数 大学1年生から4年生、140名
利用科目 文化復興と民族:北米先住民の現在
学習のテーマ この授業において受講生は、主に現在の米国領内で起こった出来事を事例として、北米地域(ハワイなど太平洋諸島の一部を含む)の先住民の人びとが、どのような歴史を経て文化や社会を復興させてきたのか、そして現在どのような課題が存在するのかについて学ぶ。北米地域の先住民の事例を通じて、民族と文化、人びとの手による言語や文化の維持や復興、コミュニティの再興、先住民と非先住民の協働といったトピックに関する知識を深めるのがこの授業の目的である。
学習のねらい 1 現在の北米地域における先住民文化や社会の現実的な姿を理解する。
2 先住民の人びとが、弾圧の時代を経て、いかに文化を復興させてきたのかを理解する。
3 先住民族に関する事象について学ぶために必要な基礎的な用語や概念を習得する。

授業全体のながれ

各授業時間は100分間

1 コースの説明、今日を生きる北米地域の先住民:ステレオタイプ的な理解を越えて
2 メディア、表象:誰がどのように先住民族を語るのか
3 言語、教育:言語教育の現在、文化復興の拠点となる研究
4 地理:南北アメリカ大陸にひろがる先住民族の文化と社会
5 米国領内の先住民の歴史1:なぜ文化復興が必要になったのか
6 米国領内の先住民の歴史2:文化復興はどのように始まったのか
7 主権、自治1:米国政府との関係性
8 主権、自治2:トライブ政府には何ができるのか
9 土地:文化や社会の基盤としての土地
10 環境、資源:自然と人間が共に成す社会
11 経済:抑圧の歴史がもたらす貧困
12 ジェンダー:古来から引き継がれてきたジェンダーの多様性
13 博物館:自らの文化や歴史を展示することの意味
14 文化復興に残された課題、コースのまとめ:この週にみんぱっくを利用

授業準備や授業時の工夫について

部屋・受講人数

机や椅子が動かせないタイプの教室を利用した。受講生の人数を考慮するとやや大きめの教室が配当されていたため、学生を教室の中央から後方に着席させ、前方の机にみんぱっくの展示品を並べた。受講人数は所属学科も多様な1年生から4年生の合計140名である。

教室の机に並べられた資料
▲教室の机に並べられた資料

感染症対策

体調不良等の理由で教室に来られない学生もいた。新型コロナウイルス感染症対策として、授業はオンラインでも同時配信している。よって、教室に来られない学生のために、同時配信の画面に資料を投影した。教室で授業に参加する学生には、感染症対策と資料の保護の両方を兼ねて、石鹸で手を洗ってから入室するように指示した。資料の鑑賞には十分な時間(45分)を確保し、順番に学生が資料を見られるようにした。他の学生が資料を見ている時間に、学生はワークシートの記入など別の課題に取り組んだ。

展示方法・展示物

教室の机にみんぱっくの資料を展示した。また、担当教員は米国南西部からメキシコ北西部に居住する先住民族ヤキについて研究している。同地域はカナダ北方とはかなり気候が異なり、年間平均気温も高い乾燥地域である。そのため、伝統装束は薄い生地でつくられている。毛皮でできたイヌイットの装束と、薄い綿の生地でできたヤキの装束を並べることによって、先住民文化と自然環境の関連性を体感してもらった。その他にも、担当教員が所有する資料(毛織物、アクセサリー等)を並べて展示し、先住民文化の多様性を示した。

資料を鑑賞する学生
▲資料を鑑賞する学生

鑑賞ができなかった学生への対応

授業の同時配信にも参加できなかった学生に対しては、国立民族学博物館の研究用データベース(標本資料目録)を紹介し、この授業に関連するキーワードを入力してさまざまな資料の写真を閲覧したり、解説を購読するように指示した。

https://htq.minpaku.ac.jp/databases/mo/mocat.html
▲国立民族学博物館 標本資料目録データベース

みんぱっく「極北を生きる」について

大変つかいやすかった。教室にみんぱくから送られてきたケースを運び、「大阪にある国立民族学博物館から東京にこのような形で資料が送られてきた」という点から解説を開始した。また、みんぱっくの取り組みや貸出方法も解説し、将来的に教育機関への就職を希望している学生は、就職先から資料貸出の申請ができることも説明した。この授業は、単純に資料を鑑賞することのみならず、博物館と先住民族の協働のあり方について学ぶことが目的である。そのため、みんぱくの研究者がイヌイットのコミュニティに出向いて収集した資料がみんぱくに収蔵され、みんぱっくが教材として組み立てられた後に全国の教育機関に貸し出される、という流れそのものが、学習の対象となった。そして、博物館使用の輸送ケースの作りや、資料と共に送られてきた文献などに対しても、学生が強い関心を示していた。

運送用のケースや同包された資料も展示した
▲運送用のケースや同包された資料も展示した

みんぱっく「極北を生きる」に対する学生の反応

最終週にみんぱっくが上智大学に送られてくることを、学期の当初から繰り返し説明していたので、学生は実物を見て感激していた。学生の寄せた感想文の概要をいくつか紹介する。
※プライバシー保護のため、実際に書かれた文章を部分的に抜粋し、改編している

触覚や嗅覚を駆使して実物の資料から得られる情報は多いと感じた。
イヌイットの人々の生活が想像しやすくなった。
一般の教室で資料を鑑賞すると、物足りなさも感じた。
博物館の展示室には、資料を引き立てるための工夫がなされていることを知った。
みんぱっくの教材は、「北米地域の先住民は、多分このような服装をしているだろう」といったような、
先住民に対するステレオタイプ的な理解からの脱却にも役立つと思った。
伝統装束の実物を見て、その装束を作ることには多くの労力が必要だと感じた。
また、装束を良好な状態で保管することも大変だろうと思った。
資料が大切に保管されていることから、みんぱくが先住民族に対して敬意を払っている様子が伝わった。

先生の感想

動物の毛皮でできたイヌイットの伝統装束という大変貴重な資料を教室で学生に見せることができ、有意義な授業となった。みんぱっくを利用するのは今学期が初めてであったが、学生からはぜひ他の種類のみんぱっくも借りてほしいという希望が相次ぎ、関心の高さがうかがえた。今後も継続的にみんぱっくを授業に取り入れていきたい。また、将来的にはみんぱっくと併用して利用できる資料を私自身でも作成し、北米地域の先住民文化や社会に関する教育活動に役立てることも検討したい。