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近畿大学農学部環境管理学科 開講科目「フィールドワークの技法」

Let’s みんぱっく!!-活用例-New

近畿大学農学部環境管理学科 開講科目「フィールドワークの技法」

2015 年から貸出を開始した、みんぱっく「あるく、ウメサオタダオ展」は、みんぱくで開催された展覧会「ウメサオタダオ展」(2011 年)の一部を教室で展示・体験できる移動型展示パックです。2021 年に一部資料の軽量化や資料数の追加などをおこない、現在はそのリニューアル版を貸出しています。
本ページでは、リニューアル版のみんぱっく「あるく、ウメサオタダオ展」を大学の授業で活用されている様子をご紹介します。
みなさんの活用法のヒントになること間違いなしです !

【本ページは学校からご提供いただいたレポートと写真をもとに構成しています。】

パック利用期間 2021年10月18日~10月31日
利用したパック あるく、ウメサオタダオ展
受講学年、人数 大学2~4年生、全体を2グループに分けて、各回約40名(合計80名)
利用科目 フィールドワークの技法
学習のテーマ 「フィールドワークを学ぶ」「フィールドワークに触れる」「フィールドワークを体験する」の3つの側面からフィールドワークの基本的な技法を学習・体験するとともに、フィールドワークに基づく研究・活動の事例を知ることをとおしてフィールドワークの意義について考える
学習のねらい ・狭義の「フィールドワークの方法論」に限定せず、社会におけるさまざまな事象について、既存の統計的資料や自分自身で取得した調査データを用いながら、「論理的に考える姿勢」を身につける
・調査と研究、調査と実務、調査の社会的意義など調査をとりまく現実的なトピックにも随時ふれ、調査や調査資料に対する高いリテラシーを身につける

授業全体のながれ

全体の授業数……全15 回(1 回90 分)

① オリエンテーション、講義プラン紹介
② フィールドワークとはなにか
③ フィールドワークのプロセス
④ フィールドワークの実際(1)
⑤ フィールドワークの実際(2) ⇒ 「みんぱっく」利用
⑥ フィールドワークの実際(3) ⇒ 「みんぱっく」利用
⑦ 「問い」を鍛える
⑧ 調査方法の検討・調査計画書の作成
⑨ 予備調査
⑩ インタビュー
⑪ アンケート(質問票)の作成
⑫ アンケート調査の実施・データ取得
⑬ データ整理・集計・分析
⑭ プレゼンテーションの準備
⑮ プレゼンテーション・講義のまとめと講評

授業準備や授業時の工夫について

部屋・受講人数

展示・鑑賞は210名用の講義室内で、2回に分けて実施した。
各回の参加者は40名程度だった。90分の講義時間と展示物数のバランスから考えると、40~50名程度が適切な人数であるように思う。

感染症対策

緊急事態宣言解除後ではあったが、新型コロナウイルス感染予防対策を徹底し、受講生には鑑賞前の手指の消毒、マスク着用の協力を呼びかけるとともに、鑑賞時に「密」にならないように、展示場所を分散させて大きく「コ」の字型に設置し、鑑賞コースをゆるやかな一方通行に設定した。


展示方法・展示物

教室前の黒板と背面壁に『ウメサオタダオのあるいた地球』や『ことばバナー』、『著作の森』を掲示した。

「あるく、ウメサオタダオ展」の内容物は、フィールドノートやスケッチなど、ひとつひとつを集中してじっくりと見たり、読んだりするものが多いため、鑑賞中に休憩する場所が必要となる。
そこで講義室の中央部を学生の休憩場所に設定し、休憩場所から各自が続きの展示場所へと放射状に移動できるように工夫した。


また、「みんぱっく」の内容物にくわえ、梅棹忠夫の著書やフィールドワークを扱った関連書籍、担当教員がフィールドワークで収集してきたアジア・アフリカ・オセアニアの布や雑貨等もあわせて展示し、フィールドワークを体感できるような演出を工夫したところ、学生にたいへん好評だった。

▲ みんぱっくとともに展示した布や雑貨等

鑑賞ができなかった学生への対応

コロナ禍のため、教室での「みんぱっく」鑑賞ができなかった学生も少なくなかったが、「知的生産の技術」(岩波新書)を読んで、文字資料から「知の七つ道具」についての理解を深めてもらうと同時に、梅棹忠夫の文章の特徴について考えてもらう機会とした。
文章を書くときに、漢字・かなの用法について考える機会をあまり持ったことのない学生にとって新鮮な経験となったようである。
後日の講義において、教室で鑑賞した学生、読書をした学生のレポートの内容を担当教員から紹介し、お互いが得たものを共有し理解を深める機会とした。

リニューアルされたパックの使い勝手について

一昨年(2020年)はコロナ禍で講義は完全オンラインだったため、「みんぱっく」の鑑賞は叶わず、今回は2年ぶりの利用となったが、展示物が軽量化・拡充され、展示しやすいように工夫されていることに感激した。

たとえば『ことばバナー』は、バナーの材質が軽量化され、バナー数が以前の2種類から5種類に増えていた。梅棹忠夫のことばは大学生の心に響くようなので、種類が増えてうれしく感じている。
同様に、『ウメサオタダオのあるいた地球』や『著作の森』も軽量化され、マグネットや養生テープを用いて簡単に掲示することができるようになった。



また、『ウメサオタダオ年譜』も以前は長く重かったため机の上に巻いた状態で設置せざるを得ず、学生自身が少しずつ開きながら見ることしかできなかったが、今回、軽量化とともに8巻に分割されて各巻の長さが短くなり、開いた状態で机に置くことができるようになったので、格段に見やすくなった。


『ウメサオタダオ年譜』は、梅棹忠夫の研究人生をたどることができるだけでなく、学生がこれからの自身の生き方にも思いをめぐらせるきっかけになるようで、毎回、学生が熱心に見るのが印象的である。展示しやすく、かつ見やすく改善されて感謝している。

講義時間内に教室で鑑賞するため、展示・片付作業は休み時間に実施することになるが、内容物の軽量化は作業時間の短縮にもなり大変助かった。


みんぱっく「あるく、ウメサオタダオ展」に対する学生の反応

今年度(2021年度)は、おもに大学2年生が対象であった。
2年生は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、2020年の入学以来、大学で対面での講義を受けた機会自体が少ない。
この1年半、オンラインでパソコンの画面ばかりを眺める生活だった学生にとって、大学講義室での「みんぱっく」の鑑賞は、大変刺激になったようである。

鑑賞後のレポートでは、「教室で展示が可能になることに驚いた」「新たな情報やモノに直に触れることの大切さを実感できた」「とても有意義な時間を過ごすことができた」「貴重な経験になった」「学びが多かった」「予想以上の内容で、楽しかった」という喜びの声が多く寄せられたのが印象的であった。

学芸員の資格取得を目指す学生からは、「『みんぱっく』に直に触れることができたことに感激した」「博物館の果たす役割について考える機会となり、その意義深さを実感できた」という感想が寄せられた。

鑑賞後に、パッキング作業を手伝ってくれた学生は、数多くの展示物がナンバリングとともに整理され、スーツケースにきれいに収まることに感激し、そうした点も「(知的生産の技術を論じた)ウメサオならでは」と感心していたのが印象的だった。

先生の感想

オンライン講義に疲労感を感じるとともに、その状況にも慣れてしまった学生にとって、今回の展示・鑑賞は、教室で貴重な資料にじかに触れ、学びを得ることの喜びを感じられる有意義な機会となった。
私自身、フィールドワーカーの一人として、オンライン環境だけでは得られない現場の重要性やフィールドワークのおもしろさや醍醐味を学生に伝えたいと考えているが、「あるく、ウメサオタダオ展」は、そのことを学生自身が肌で感じることのできる素晴らしい教材だった。
今後も引き続き、利用を続けたい。

(四方 篝先生)